独学で英語が話せる人、失敗する人8つの分岐点 英語教育300年の歴史から紐解く、今後のシナリオ 20XX年、AI通訳・機械翻訳の波を読む ビジネス英語をこれから学ぶ人へ
ビジネス英語の方程式より「英会話の先生とリアルビジネスの視点比較」

2019/07/26 10:58

【永久保存版】ビジネス英語入門者に知ってほしい5つのこと

ビジネス英語をこれから学ぶ人へ #00

著書累計100万部突破のビジネス英語のプロが解説

ビジネス英語の入門者や初心者は、どうすれば最短で効率的な学習ステップをふむことができるのでしょうか。合計100万部突破のビジネス英語教材の著者が、これからビジネス英語を学ぶ予定の入門者や初心者がおさえておくべき5つのポイントを紹介します。入門から上級まで、ビジネス英語を独学で勉強している方におすすめの記事です。

安達 洋

米国コロンビア大学修士。中央大学法学部法律学科卒業。海外留学経験0から外資系医療機器商社へ転職。プロダクトマネジャなどを務めた後、現在は東証一部上場企業をはじめとする多くの企業の英語研修プログラムの監修を実施。「外資系で働く人の英語入門」「スティーブ・ジョブズから学ぶ実践英語トレーニング」など著書累計50万部。趣味は愛犬との散歩。

福水 ケビン

ニューヨーク州立大学藝術学部卒。現地の医療コンサルティングファームでアカウントマネージャーとして勤務。文部科学省、NHK、英語検定協会など機関に、ビジネス英語や異文化コミュニケーションのコンサルティング、講演・研究協力・プログラム提供する。「ビジネスパーソンが必ず使う英語表現204」ダイヤモンド社など著書多数。在米13年。

目次

ビジネス英語入門者が知るべき5つの基本

ビジネス英語を勉強する際には、ビジネスできちんと使える単語やフレーズを学習することが大切です。そして、学習に関連する忘れてはならない基本事項がたくさんあります。今回の記事の中では、その中から5つ厳選して解説していきます。

【入門者の基本①】完全を求めない

ビジネス英語の方程式より「英会話の先生とリアルビジネスの視点比較」

豊富な語彙を身につけたい。字幕なしで映画が見れるようになりたい。 外国人と気さくに会話をしたい。英語を勉強する人が、誰もが一度は抱く目標ではないでしょうか。

しかしビジネス英語は趣味の英語とは切り分けて考えなければなりません。成果が求められる現場の間でスピーディーに飛び交うのがビジネス英語です。

例えば、医療業界にいるのに、SF映画の単語を覚えても意味がありません。また、ビジネス英語は英語と異なり、表現が豊富だからといって、発音がうまいからといって、自分の評価が上がったり顧客の役に立つことはないことに気づいてください。英語が洗練されているかどうかということよりも、いかに英語を使って現実の業務ニーズや顧客の要求にスピーディーに対応するかが大切です。

したがって、完全を求めず、「ツールとして使うことを割り切る」マインドをもつことが、ビジネス英語の習得には重要です。

    完全を求めた際の問題点

  1. ネイティブのレベルを理想とするため、同じだけの語彙量や発音を習得しなければならない
  2. 文を作成するのに時間がかかる、または発音などに自信がなく発言できない
  3. 自分は、英語にミスがある、発音が悪いなど、不要なコンプレックスが生まれ学習やビジネスに悪影響を及ぼす

入門者へのアドバイス「60点のPDCAが近道」

入門者は、最短で到達可能で、かつ現実的な目標設定をしなければなりません。はじめから90点の英語を出そうとするのではなく、60点の英語を出しながら少しずつ磨いていくことが大切です。たとえば、ネイティブにあこがれ続けることをやめて、中国人やインド人など「英語を母国語としない民族」の話す英語を目標に設定することもおススメです。

【入門者の基本②】10×1ではなく、1×10

ビジネス英語の方程式より「英会話の先生とリアルビジネスの視点比較」

人はすぐ忘れます。特に大人になってからの自分の記憶力には期待をしてはいけません。覚えたことは右から左にどんどん忘れていくでしょう。だからこそ、ビジネス英語の習得には反復トレーニングや独学でしっかりと復習することが肝心です。勉強時間のうち、9割が反復トレーニングというくらいの気持ちでよいです。

ゴルフや野球を考えてみて下さい。野球もゴルフも本番の一打のためにどれだけのシミュレーションをしたり、素振りトレーニングをして、同じパターンを繰り返していると思いますか?英語も同じです。 下手な人ほど試合やコースに出たがりますが、うまい人ほど地味な反復練習を欠かさないものです。

英語は、ネイティブの英会話の先生と週2で話しているくらいでは、絶対に習得することはできません。何度も自分で繰り返して、自分の血肉となるまで使い続ける必要があります。お金を使って多くの教材を買ったり、様々なネイティブ講師に習っている人でも、英語がものにならない人がたくさんいるのは、身につく前に覚えたことを忘れてしまっているからです。これは右から入ったものが左から抜けている状況でよくありません。

本や教材も同じです。自分にもっともあった1冊を選ぶこと、そしてそれを何度も復習するとよいでしょう。ビジネス英語は資格試験や受験英語とはことなり、知識量ではなく、使えるようになることが肝心です。自分のものにできるまで何度も繰り返してください。単語であれば、10個の単語を1回ずつ勉強するのではなく、1個の単語をできるまで10回復習するのが基本です。

入門者へのアドバイス
「ビジネス英語は、狭く深く学ぶ」

広い交友関係を持っている人がいざ困った時に、周りの人が力になってくれるとは限りません。あなたが必要なのは少数の深い交友関係です。英語も、たくさんの単語や本に手をつけていては、いざ話す時にできません。英語は3000程度の使いこなせる単語があれば、ビジネスではひとまずスタートラインにたつことができるため、あれこれ欲をかいて手をだすのではなく、小数のフレーズを身につけることを心がけてください。

【入門者の基本③】文化力で言語力を補う

ビジネス英語の方程式より「英会話の先生とリアルビジネスの視点比較」

「価値観があうけど、言葉が通じない人」と「言葉は通じるけれど、価値観が全く違う人」あなたは、どちらとうまくやっていけると思いますか?実際に業務でチームとして機能するのは前者の「価値観があうけど、言葉が通じない人」です。

じつは、言葉が通じると、なまじ通じてしまうために「なんで伝わらないの?」「なんで自分のことをもっとわかってくれないの?」と期待する気持ちが強くなり、それがストレスやコミュニケーションの障害となって現れてきます。しかし反対に、相手の価値観をよく理解していれば、ほとんど話さなくても、長年連れ添った夫婦のように、良好な関係が成立するのです。

多くの人がこのことを勘違いしています。
日本語が話せるということと、相手を説得するということが同じでないように、英語を話すことができても、交渉やプレゼンテーションがうまくいくわけではないのです。

言語はあくまで、共通のプロトコルです。相手の価値観や実現したいことなどが読めるようになれば必要ありません。読心術のような話をしているのではなく、文化などの背景知識や相手の価値観を理解することが出来れば、相手の考えや発言を予測できるため、言語に多少問題があっても補うことが出来るということです。

入門者へのアドバイス
「最終的に大事なものは言葉よりも文化」

お互いの文化をよく理解していれば、相手が喜ぶ感情のツボがわかり、また自分にも興味をもってもらうことができます。ビジネスコミュニケーションの本質は、顧客や上司など異なるステークホルダー間でコンセンサス(合意)をとることです。そしてそれには相手の価値観を知ることが大切です。つまり文化を知ることなのです。

【入門者の基本④】面子とプライドは最大の遠回り

これまで1万人以上を指導してきましたが、英語が上手くなる人は「恥をかくことを恐れない」性格の人が多い傾向にあることに気づきました。これは英語が上手くなるまでには、何度も失敗を重ねる必要があるため、面子や体裁を気にしない人の方が多く経験できるからだと考えられます。

もしかしてあなたは、英語を「かっこよく話そう」としていませんか?面子やプライド、そして人によく見られようとする下心は英語の上達を妨げてしまいます。今自分ができる100%をその都度アウトプットしていく、そうした努力の連続の先にビジネス英語の道は開けます。

日本にいると英語を話す機会がない。だからビジネス英語が伸びない。と嘆く人は多くいますが、自分次第でアウトプットや英語とふれる機会を増やすことはいくらでもできます。極端に言えば、会話の相手などいなくとも、自分で一人で音読すればよいのです。

かくいう私も外資系企業に勤務していた時、毎日1時間は必ず自分一人でプレゼンテーションなどの練習をしていました。反復して文章化することでビジネス英語は上達していきます。恥をおそれず、どんどん話していくことがビジネス英語習得の近道です。

入門者へのアドバイス
「下手な英語は今日の恥、話さぬは一生の恥」

英語で発言するチャンスがあったら、挑戦してください。「恥をかいたらどうしよう」「聞き取れなかったからどうしよう」「英語としてきれいに文章化できる自信がない」など逃げていてはだめです。今日恥をかいても、恥をかけば少しずつ英語がうまくなっていきます。英語学習においては、恥はかいた方がよいのです。

【入門者の基本④】面子とプライドは最大の遠回り

日本人が英語ができない理由は、英語ができなくても仕事ができてお金が稼げるからです。
年間300兆円規模の国内市場があるため、日本語を話すことができれば、とりあえず食べることには困りません。70億人のグローバル社会の中で、日本語というたった1億人の言語だけで経済活動を完結することができるということは、世界広しと言えども特殊な例だと思います。

逆にフィリピンやインド、そしてひと昔前の中国などでは、「貧しくないくらしをする」、または「食べていく」ことに必要な資格が英語だったと言っても過言ではありません。韓国なども日本より圧倒的に輸出に依存した経済国なので、外に出て行く必要があるのです。総じてほとんど全てのアジア人の方が日本人よりずっと本気で英語に取り組んでいます。

皆さんは自分と向き合って、自分の心の中に英語を学習するというモチベーションを見いだせるのでしょうか。または「いつかやろう」というスリープモードで永遠にやらないのでしょうか。もし自分の中に、確かなモチベーションや危機感があるなら、必ず英語はものにできることでしょう。

他の特集を見る