江戸時代から300年、変わらないこと【#01】
2019/08/23 12:30
2020/02/12 08:18
プレゼンやスピーチなどのビジネスシーンで英語を使う際、ユーモアやアナロジー(例え)は重要な部分です。論理的で堅いプレゼンテーションに少しことわざを交えることで、やわらかい表現になり、またデリバーするメッセージを相手の印象に残すこともできます。
英語学習者は、プレゼンやスピーチでどうしても文法や発音、そしてスピーキングなどに目がいきがちですがことわざを交えることでレベルを上げていきましょう。
Koji Masaoka
東京大学理工学部卒。卒業後は大手企業の北米拠点で活動。 情報応用学、統計学まで幅広いジャンルのグローバル業務経験をもつ。
趣味:散歩・テニス。
黙読するだけではいざというときにスピーキングで使えません。最低10回は音読、シャドウイングして、実際の会議などで使っているシーンをよくイメージして下さい。少しずつ定着していくことでしょう。本シリーズではプレゼンやスピーチなどのビジネスシーンで使えることわざ・慣用句を厳選して紹介してします。自分のお気に入りのフレーズを使ってみて下さい。
何かを人に伝えたいとき、「わかってほしい」「伝えなければ」という気持ちが強すぎると私たちはどんどんと情報を付けたしていきがちです。また企画や設計を、「いいものにしよう、いいものにしよう」と思うほど、多くを加えたくなるのが人の常かもしれません。
付け加えるより、削ぎ落す方が難しいですよね。
しかし「本当に伝えたいこと、大切なものは何か」を問うと物事は意外とシンプルなことが多いです。そして本当に大切なエッセンスをシンプルに端的に伝えることで、大切なコアの部分だけを残すことで、人に伝わったり、その機能美が生きたりするのです。
また、デザインやプログラミングにおいても、不必要な複雑性は混乱を招くだけだとも言え、単純性・簡潔性が成功の鍵だといわれています。スコラ哲学にあるオッカムの剃刀とも通じており、時を超えて言われ続ける真実だとも言えますね。
物事が煩雑になってきた場面や、削ぎ落し、ブラッシュアップが必要な場面でこの言葉を使ってぜひ原点に立ち返ってみてください。
Keep it short and simple.
前から意味をとると、Keep (《V》保ちなさい))/it(《O》それを)/short and simple(《C》短くシンプルに))となります。命令形なので、主語がありませんが、文型としてはSVOCの形をとる文章です。SVOCの文章は「SがVする/OをCに、OがCだと」という意味になります。
この文型では一般的に、OとCにイコールの関係性(O=C)が生まれる、と言われますが、これは言い換えるなら「OとCの間に、“主語と述語”的な関係が成り立つ」ことだと言えます。(例文であれば、it is short and simple. )
keepを辞書で引くと「続ける、飼う、保つ、経営する、守る」などいろいろな意味がでてきますが、この単語が持つ「あるところで、その状態が続く/その状態を変化させず保持する」という基本の語感を捉えておきましょう。英単語を覚えるときは逐一日本語訳を覚えるというより、中心の語感を抑えておくと汎用性が広がります。
今回はSVOCの形をとるビジネスで使える英語例文をいくつか紹介します。 SVOCの文構造は、日本語にはなく馴染みづらいこともありますが、とても英語らしい文章なので、しっかりと音読してこの文型のリズムを自分のものにしてみてください。
少し例文とは離れるかもしれませんが、昔、ハンガリー人の友人が「美しい」という日本語を覚えた折、彼はその単語をいろいろな場面で使いました。見た目が美しいものだけでなく、人と人との関係性や、心が動いたときなど、様々なシチュエーションで「美しい!」と情感たっぷりに声に出したのです。
それは、正しい日本語とは言えないかもしれませんが、決して間違っておらず、この一語でこんなにもいろいろな場面を表現できるのか、と逆に驚かされたのも事実です。そして、私が言葉多く重ねるよりも、彼のこの一語のほうがどんなにまっすぐ伝わるか、と衝撃を受けました。それはきっと彼がこの言葉の本質をとらえていたからだと思います。
簡潔に、シンプルにあるというのは、物事の本質を分かっているということです。
個人的にはなかなか苦手な部分ではありますが、いつも心がけていたいと強く感じます。
プレゼンやスピーチで使える!英語のことわざシリーズでは、ネイティブでも国や地域によって知らない人がいるようなマニアックなことわざではなく、誰でも知っている汎用性が高いことわざを紹介しています。また日本語でも同様のことわざがあったりするので、英語圏との文化の違いが見えて面白いですね。
ことわざは特殊な文法が使われていたり、簡略化されていたりするので、最初は馴染みがなく感じるかもしれません。繰り返し音読やシャドウイングで学習していくうちに自然に身についていきますので、楽しみながら続けましょう。