独学で英語が話せる人、失敗する人8つの分岐点 英語教育300年の歴史から紐解く、今後のシナリオ 20XX年、AI通訳・機械翻訳の波を読む ビジネス英語をこれから学ぶ人へ
「グローバル人材AtoZ」 安達洋 × 福水ケビン 【特別対談】

2019/11/15 14:15

「グローバル人材AtoZ 」【特別対談】安達×福水【#02】

「グローバル人材AtoZ」 安達洋 × 福水ケビン 【特別対談】 #02

累計50万部突破!安達洋と福水ケビンの対談が実現。グローバルビジネスに必要な語学、コミュ二ケーション、人格、テクニック、ポイントなどの様々なトピックについて、入門者から上級者までを対象に縦横無尽に話していきます。

安達 洋

米国コロンビア大学修士。中央大学法学部法律学科卒業。海外留学経験0から外資系医療機器商社へ転職。プロダクトマネジャなどを務めた後、現在は東証一部上場企業をはじめとする多くの企業の英語研修プログラムの監修を実施。「外資系で働く人の英語入門」「スティーブ・ジョブズから学ぶ実践英語トレーニング」など著書累計50万部。趣味は愛犬との散歩。

福水 ケビン

ニューヨーク州立大学藝術学部卒。現地の医療コンサルティングファームでアカウントマネージャーとして勤務。文部科学省、NHK、英語検定協会など機関に、ビジネス英語や異文化コミュニケーションのコンサルティング、講演・研究協力・プログラム提供する。「ビジネスパーソンが必ず使う英語表現204」ダイヤモンド社など著書多数。在米13年。

「グローバル人材AtoZ」 安達洋 × 福水ケビン 【特別対談】

「ビジネス英語はゴールからの逆算」

安達:学生時代は、自分がどういう仕事をするのかイメージできなかったり、自分の関心エリアがわからない人もいますよね。だから、受験までは分野も限定せず汎用性の高いいろんな単語を覚えていろんな英文の問題を解いて、高校生であればみんな同じ大学受験のテキストを見て汎用的なことを勉強してもいいと思うのです。でも社会人になったら、自分の進路って業界や職種で限定されているわけですから、汎用的な教材をひたすら勉強するというのは効率的ではない気がします。
英語が趣味なのだとしたら、ゴールだとか明確な定量化されない漠然とした中で英語の表現の幅や奥深さを楽しんだりっていうのもアリですよね。でも現役世代は違う。その人たちの英語ってパソコン同様、ツールでしかないですから。
例えば、同じ営業職であっても、外回りの営業であれば、エクセルは少し使えればよいのですけど、営業管理であれば少しマクロ関数も出来た方がよいかもしれません。このように、自分の仕事が、自分のツールの熟練度とそのタイプを決定するわけです。ビジネス英語であってもこれは同じで、自分の業界、自分のキャリア、自分のゴールや求められている仕事がまずあって、そこにどんな英語が必要なのかってことを考えると学習が継続できたり目標がたてやすいと思います。

福水:同感です。この20年の日本は、「日本人+英語→グローバルで通用する」という考え方のもと、国の政策をはじめとして全ての英語教育がある気がしますが私はこれは違うと思います。英語って生半可な努力ではマスターできないものなので、ぽんっと+英語というわけにはやはりいきません。先生のお話しされるように、ゴールや仕事で求められていることからの逆算が必要で、自分が正確にどの程度、どのような英語が必要とされているかをイメージすることが大切だと思います。
グローバルのビジネスで通用するってことは、目の前のグローバルに対処できることであり、英語がペラペラ話せるということではありません。したがってビジネス英語は自分の専門分野だけでとか、自分の業務に関連することだけでまずは学ぶべきだと思います。

安達:広く浅い英語力が一番問題ですよね。ほとんどのビジネスパーソンは自分の業界、自分の職種に限定されたところで使うわけじゃないですか。ビジネスパーソンの強みってフィールドが限定されてることだから、例えば、僕がいた医療機械業界であれば整形外科に関する単語や英語での言いまわしだけ深堀して知っとけばとりあえず渡り歩けたし、それしか時間もなかったです、正直。グローバルって、英語も文化もコミュニケーションも考え方も学ぶことがたくさんあるので、まずは自分に関連するところだけマスターしてしまうというのは、有効なアプローチです。"

「リスニング力に理想論は持ち込まない」

福水: そういう風に学習していくと、関連度の高い現場でのリスニングは結構できるようになりますよね。リスニングは、多くの人が細かいとこらまで、網羅的にわからなければならないと考えていますが、グローバル現場では全てをよく理解できることよりも、まずはそのなかで自分の業務と関連度の高いものを理解して、それに対して何か発言することが求められますね。
教育は、Bさんが言ったことをAさんが100%わからないといけないし、Bさんが言ったことをAさんは100%理解できるように勉強しましょうという理想を前提とすることも仕方がないかもしれません。しかし社会人以降の教育では、AさんがBさんが言ったことにどうリアクト(対応)するかが大事になります。Bさんが言ってることが100%わからなくても70%しかわからなくても、極端に言えば50%しかわからなくても、何か自分と関連させて会議の場でアウトプットできること、それが会議における生産性につながりますから。 教育は理想や思想であって、真に受けてはならない。現実は実践性や落としどころが大事だと思いますね。

安達:日本人以外のアジア人は、それをよく理解していますね。私も日々痛感しますが、日本人と違って台湾人や香港人や中国人の人たちって物怖じしないで議論に入ってべらべらしゃべるんですよ。でも、今思うと他の人たちの発言を100%理解したうえで発言してないと思うんですよね。まず言いたいことや要求がありき、その後に相手と折衝するというスタイルの議論方法ですね。相手の発言ってトリガー(きっかけ)くらいで、決して相手の言ってることをそうだねそうだねって理解してる部分は必ずしも多くなくともよい。極端に言えば、自分の言いたいことをただガーって言ってる、そういう印象を受けますね。

福水:ガーっとですよね、確かに(笑)外国は、自分の専門性が財務だったら、財務のことだけを話せばいいという感じ。自分の畑があって、自分の畑で採れた1番いい食材(視点、意見、見解)ってあると思うんですよ。それを会議でアウトプットすることが大事。相手の話を理解しているか理解していないかは本質的には意識されていないのでしょう。
ここは、日本人が苦手とするところです。遠慮や自重の気持ち、十分に内容を理解できていない不安、そして自分が専門性を有していないという謙虚さ、はたまた英語力が心配だからまで、悩みを抱える方、多いですよね。それでだんまりしてしまう。

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