独学で英語が話せる人、失敗する人8つの分岐点 英語教育300年の歴史から紐解く、今後のシナリオ 20XX年、AI通訳・機械翻訳の波を読む ビジネス英語をこれから学ぶ人へ
ビジネス英語の方程式より「英会話の先生とリアルビジネスの視点比較」

2019/11/01 13:30

なぜ英会話学校やオンライン英会話が遠回りなのか【#02】

ビジネス英語をこれから学ぶ人へ #02

最短のビジネス英語学習法は何でしょうか。ビジネス英語を習得する方法は、英会話学校、留学、実践など様々。その中でも先生に教わるのか、自分で自習して独学で習得するのか、どちらが近道なのでしょうか。

「ビジネス英語の方程式」の単元「語学の習得において、独学が重要である理由」から一部ポイントを抜粋してお届けします。

安達 洋

米国コロンビア大学修士。中央大学法学部法律学科卒業。海外留学経験0から外資系医療機器商社へ転職。プロダクトマネジャなどを務めた後、現在は東証一部上場企業をはじめとする多くの企業の英語研修プログラムの監修を実施。「外資系で働く人の英語入門」「スティーブ・ジョブズから学ぶ実践英語トレーニング」など著書累計50万部。趣味は愛犬との散歩。

ビジネス英語をこれから学ぶ人へ

なぜ英会話学校やオンライン英会話が遠回りなのか

ビジネス英語は独学の方がより適していることが多いとしたら、びっくりする人も多いのではないでしょうか。企業研修を考えている人事担当者、またキャリアアップの自己投資としてスクールに通う人は、ビジネス英語を独学で習得、学習する方法も検討するとよいかもしれません。

環境か独学でビジネス英語は上達する

よく英語を習得するならば、海外で学ぶのが一番効率がよいと言われます。仕事や買い物するときなどで英語を使うことになるので、日常的に多くの量のアウトプット訓練をすることができます。「ビジネス英語力の向上に関する調査2018」でも、ビジネス英語を業務レベルで話せるビジネスパーソンの60%が、環境的な要因をあげています。留学や赴任など、長期短期を含めたビジネス英語にふれる機会の多い人が業務レベルのビジネス英語をマスターしています

「ビジネス英語の上達に最も影響した要因」360JAPANリサーチ

出典:「ビジネス英語の上達に最も影響した要因2019」360JAPANリサーチ

2位には、外資系企業やグローバル企業で働くビジネスパーソンが入っており、日常的にビジネス英語にふれる機会の多い層が入っています、この上位2つの合計で全体の81%となっており、環境がビジネス英語の向上に最も重要な要素ということがわかります。一方英会話学校やオンライン英会話などの先生との対話トレーニングは全体の8%となっており、対人コーチングよりも、独学や自習が圧倒的に有効であることがわかります。

英会話学校やオンライン英会話はなぜ有効でないか

英会話学校やオンライン英会話にも利点はたくさんあります。先生とのアポイントやクラスがあるのでモチベーション管理がしやすいですし、間違えたところを直してもらったり、うまくできたら褒められてうれしくなることもあるでしょう。

しかし、独学と比べてなぜ上達効果が実感しづらいのか。シリーズの1ビジネス英語は独学が近道シリーズ Vol1. 「人から教わってできるほどビジネス英語は簡単ではない」では、反復トレーニングの重要性についてありましたが、ここではビジネス英語の研修講師を13年やってきた私の経験から、英会話学校の利用デメリットを解説していきます。デメリットをしっかりおさえておけば、効果的に英会話学校を利用する方法も見えてくると思います。

教育サービスと教育は別物

まず、英会話学校やオンライン英会話と中高教育とは本質的に異なります。英会話学校が民間主導のサービスであるため、受講生対する満足は最重要項目になります。一方で、中学校や高等学校であれば、「今日はテストが近いから自習にしよう。各自34p-36pの単語を全部覚えてください。」といった指導も可能ですが、英会話学校ではそんなことはあり得ないと思います。

単語をひたすら覚えて復讐することは定着させるために重要なことです。先生に単語を定着させる力はありませんから、自分で何度も見たり、書いたり、話したりして覚えるしかない。つまり、教育としては自習を実施した先生は正しいことをしているのです。一方で、英会話学校で、「今日は単語強化デーです。私が見ていますから、みなさん反復トレーニングうをしましょう。」と言ったとしたら、クレームの嵐となることでしょう。クレームになるということは、顧客が満足していないということ、それはサービスとしては不適切となってしまいます。この英会話学校は民間企業の事業サービスであるというルーツことが多くの問題を生んでいます。

先生は「好かれたい」のが本音

民間の教育サービス会社では、受講生に「また、この学校で勉強したい」「また、この先生に教わりたい」と思われないようでは、顧客に満足してはいただけません。また、長く通ってもらわなければ売り上げがたちません。これが民間教育サービスので欠点です。満足やリピート、それに契約を一番に優先するということです。そこから、英会話学校のミッションは受講生にいかに満足してもらえるかということになります。先生の力を頼れない、独学や単調な反復トレーニングはほとんどの受講者にうけがよくありません。 「英会話講師のジレンマ」360JAPANリサーチ

出典:「英会話講師のジレンマ」360JAPANリサーチ

講師の報酬体系も一般的な学校と英会話では異なります。学校は基本的に固定給、また公立学校であれば公務員となりますので、徐々に年がたつにつれて、昇給されていきます。一方で英会話学校の先生の多くは派遣であったり、時間給制であることがほとんど。つまり生徒からの満足度で先生達は昇給や評判が決まるのです。そうした立場におかれている英会話学校の先生は学校の先生より環境的にも圧倒的に、生徒に好かれる必要があるのです。

ほめられるとできた気になる

生徒に好かれるには、ほめることが近道です。たまに、どんどん厳しくして指導してほしいという方もいますが、ほとんどの生徒は褒めてほしいと考えています。忙しい仕事の合間を使い、また家族や自分のプライベートの時間を使って来ているわけですから、私でもそう思うと思います。

モチベーション管理や継続して英語にふれるという意味ではほめられることは大事です。一方でそう簡単にほめられていては、生徒としてはあまり上達していないのに、できた気になってしまいます。知っていて当然で、問題なく使えるべきビジネスの基礎単語でも使えばGoodとほめられていては、上達スピードが遅れてしまいます。実践ではビジネス英語は英語とは異なります。成果やスピード、そして業務上の効率的な情報伝達が求められているので、「まだまだこんなものじゃだめだ」という厳しい目で自分の英語力を磨き続けなければなりません。趣味の英語や、自己満足の英語は「ほめられる」ことが目的であってもよいと私は思います。しかし、ビジネス英語では実戦をよくイメージして、自分自身で目標とするレベルに至るまでに何がたりないかを正確に測る必要があります。

次回のビジネス英語は独学が近道シリーズ vol3では、英会話学校のトレーニングでおちいりがちな失敗例をいくつかご紹介します。

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