独学で英語が話せる人、失敗する人8つの分岐点 英語教育300年の歴史から紐解く、今後のシナリオ 20XX年、AI通訳・機械翻訳の波を読む ビジネス英語をこれから学ぶ人へ
ビジネス英語の方程式より「英会話の先生とリアルビジネスの視点比較」

2020/02/14 08:56

【日本No.1講師が解説】独学で英語を習得するための成功ポイント

ビジネス英語をこれから学ぶ人へ #03

英語が話せる日本人ビジネスパーソン870名にアンケート調査
最も効果の高い、ビジネス英語習得法とは?

ビジネス英語を最短で習得するためにはなぜ独学が向いているのか。よるビジネス英語勉強のもつ意味とは。日本最高峰のビジネス英語の教育者である安達洋氏にインタビューし、英会話スクールや留学、独学やNHK教材などざまざまな選択肢の中で、最短の学習法について聞いた。

(インタビュアー佐伯博一 | 2020年2月18日)

安達 洋

米国コロンビア大学修士。中央大学法学部法律学科卒業。海外留学経験0から外資系医療機器商社へ転職。プロダクトマネジャなどを務めた後、現在は東証一部上場企業をはじめとする多くの企業の英語研修プログラムの監修を実施。「外資系で働く人の英語入門」「スティーブ・ジョブズから学ぶ実践英語トレーニング」など著書累計50万部。趣味は愛犬との散歩。

目次

英会話レッスンvs留学vs独学

―本日はよろしくお願いいたします。

こちらこそよろしくお願いします。

―早速本題に入らせて頂きます。英会話学校、留学、独学など様々な勉強法がありますが、ずばり最短のビジネス英語学習法は何でしょうか。先生に教わるのか、自分で自習して独学で習得するのか、どちらが近道なのでしょうか。

どちらにも良いところと悪いところがあります。例えば、英会話学校であれば、一人で勉強するよりもモチベーションが継続しやすい方が多いのではないかとおもいます。しかし、英会話の先生は学習者にとって一番大切な、復習や地味な反復トレーニングはしてくれません。

ビジネス英語を習得するには、モチベーションの継続、そして反復トレーニングの2つの要素が欠かせません。したがって、どの手法がよいということはなく、それぞれの学習法の特長をよく理解して学習する必要があると思います。

英語を習得した人の94.2%は独学経験者

もしどちらかを選ばなければならないのであれば、独学を私は推奨します。私はかつて、外資系企業でプロダクトマネージャーをしていた経験があります。当時をふりかえってみると、国内、それも自宅での勉強が、ビジネス英語の上達に一番役立ったと感じています。

360JAPANが英語が話せる日本人ビジネスパーソン870人に調査したところ、英語が話せる日本人ビジネスパーソンの多くが、実は英会話レッスンよりも独学を支持しているということがわかりました。また、全体の51%以上の英語習得者が、独学とレッスンの両方が大切であると考えています。

360JAPAN ビジネス英語の学習に関する調査2020年度 n=870回答

―なるほど、英会話レッスンだけでは、身につきづらいのですね。実際に、多くの英語を話せるようになった日本人が、独学を重要視する理由は何でしょうか?

先生は学習者のために復習をしたり、繰り返し確認してくれないですよね。学習者である、あなた自身だけが同じ単語を何度も繰り返したり、反復トレーニングをすることができるのです。例えば、ジムトレーナーはあなたの代わりに筋トレや食事制限をすることはできないでしょう?

単語も文章作成も発音も同じで、一回や二回ではできるようにはなりません。

―確かにそうですね、、、

ビジネス英語を習得する過程で反復練習は何よりも大切なことです。覚えた単語は忘れるので、覚え直す。うまく文法を組み立てられないことがあれば、何度も組み立てる練習をする。発音できない単語は何度も発話して練習する。このようにビジネス英語は、何度も繰り返すことによって習得できるようになります。

フランス人やドイツ人などの一部の母国語がヨーロッパ言語の人たちは、言語ファミリーが英語と近いため、一度教わった単語を忘れづらいと考えられます。文法を一回で組み立てることができることもあるでしょうし、発音を初回でマスターすることもあるでしょう。しかし日本語と英語は、音声学的にも、文法構造的にも、字体表記的にも言語的近似性がほとんどないため、日本人が英語を習得する際は何度もやらなければ絶対に無理です。

3回覚えて、4回目に忘れる、4回目に覚えて7回目に少し使えるようになる、といったように、その上達スピードに個人差はあるかもしれませんが、多くの場合、根気よく反復トレーニングを続けなければなりません。

ビジネス英語を習得するポイント

  • 英語を習得するにはレッスンではなく、独学で反復トレーニングをする必要がある
  • 英語を習得したビジネスパーソンの94.2%の人が、独学を重要だと考えている
  • 言語学的、音声学的に、日本語と英語の近似性は低い

留学・海外赴任しても英語が身につかない人に共通する3つのこと

―外で英語を使い、家に帰ってからも英語を勉強するという意味では、留学や海外赴任は、ビジネス英語習得の最短の道のりと言えるのでしょうか?

よく英語を習得するならば、海外で学ぶのが一番効率がよいと言われます。仕事や学校、そして買い物をするときにも英語を使うことになるので、日常的に多くの量の対人トレーニングを自然にうけることができます。その量は英会話レッスンの比ではありません。360JAPANの「ビジネス英語の学習に関する調査2020年度 英語が話せる日本人ビジネスパーソン調査」でも、英語を習得したビジネスパーソンの53%が、成功の主な要因として環境をあげているという結果が出ています。帰国子女や留学や赴任など、長期短期を問わずビジネス英語にふれる機会の多い人が、業務レベルのビジネス英語をマスターする可能性が高いというのは事実です。

帰国子女、会社でのMBA留学、または仕事で海外に数年赴任するのであれば、毎日のようにビジネス英語を使い、浴び、復習しているため自然と反復トレーニングをすることができるのです。

360JAPAN ビジネス英語の学習に関する調査2020年度 n=870回答

―環境でできるようになるのは当たり前な気もするのですが、逆に帰国子女や留学といった環境でのアドバンテージがないにもかかわらず、国内で独学で英語を身につけている人が一定層いるのには驚きました。

これは肌感覚として、現場のビジネスパーソンは結構もってると思うんです。「どうやってできるようになったの?」ってきくと、英会話レッスンとかではなく独学でと答える人って多いんですよね。

結局は本人次第ということです。外国に留学、または海外に赴任したからといって全員が、ビジネス英語ができるようになるわけではありません。留学や赴任の機会に恵まれた人の中で、実際にビジネス英語を習得する人は、3人に1人程度です。中にはまったく上達もせずに帰国する人もいます。

―そんなに少ないのですね。そういえば、私の周りにも語学留学や、海外赴任をしていたのに英語があまり話せない人がいます。これはどういうことなのでしょうか?

現地での過ごし方がポイントです。積極的に会議などでも発言し、現地社員とプライベートでも関わっていなければ、英語の上達は期待できません。当たり前の話ですが、実際に海外に赴任したり、留学をしても、日本人コミュニティーで馴れ合いをしてしまうと英語は伸びないのでしょう。また、日系企業の場合、英語が下手でも現地職員が歩みよって理解しようとしてくれるため、それに甘えてなかなか上手にならないのだと思います。

    留学・海外赴任しても英語が身につかない人の3つの共通点

  1. 海外における日本人コミュニティーへの過度な依存
  2. 英語が上手くなくても、仕事が成立してしまう環境(現地職員への甘え)
  3. プライベートの時間(家)で英語と関わる機会が少ない

英会話学校やオンライン英会話を最大限活用する方法

―経済産業省の統計によれば、2008年から国内で毎年400万人の受講生が様々な目的のために英会話スクールに通っています。企業研修、オンライン英会話、プライベートレッスンを含めればその数は2倍か3倍になるでしょう。しかし、いまだに多くの日本人ビジネスパーソンはビジネス英語が話せるようになっていません。こうした状況の中、英会話レッスンを通じてビジネス英語を習得する場合のコツやアドバイスを教えてください。

英会話学校では一般的に教科書やレッスン本などの教材があり、教材に沿ってレッスンが進行します。この場合、単元ごとに新しい状況や新しい単語セット、新しい文法が出てきますね。しかし、1シーズンのレッスンが終わった後に最初に戻って、単語やフレーズは覚えているでしょうか?使えているでしょうか?新しい情報がたくさん出てきてしまうと、暗記や習得には反復練習が必要であるという前提から考えると、毎回新しいことを学ぶと効率が悪くなってしまうのです。簡単に言うと、広く浅く学習して、身についていない状態です。

従って、英会話レッスンは、家での復習、自習が欠かせません。授業を受けただけで出来るようになると考えるのはやめた方がよいでしょう。

―英会話学校や英語の先生の立場で考えてみると、同じチャプター内容を毎回繰り返すわけにはいきませんよね。新しいコンテンツを入れ替えて指導するほかない、ということなのでしょうか。

そうです。もし英会話学校で、先生が「今日は単語強化デーです。私は何もしませんから、みなさん反復トレーニングをしましょう。」と言ったとしたら、クレームの嵐となることでしょう。しかし、先生に単語を定着させる力はありませんから、先生ができないのであれば、自分で何度も見たり、書いたり、話したりして覚えるしかありません。

―英会話レッスンのよいところってどんな部分でしょうか?

英会話学校やオンライン英会話にも利点はたくさんあります。英会話レッスンは先生とのアポイントやクラスがあるのでモチベーション管理がしやすいですし、間違えたところを直してもらったり、うまくできたら褒められてやる気が出ることもあるでしょう。

―英会話学校の選び方はありますか?どこがいいなど。

何か1つのメソッドやどこか1つの英会話学校が優れているのであれば、現在のように英語の教育サービスは乱立しないはずです。大小あわせればおそらく1000社以上はある英会話レッスンサービスに、大きな違いはないです。繰り返しますが、どこかが優れているのであれば、淘汰されて2,3社しか残らないはずですから。

最も理想的な英語の先生は?

―アフターコロナで英会話レッスンもオンラインの需要が増えてきています。英語の先生を選ぶ際の注意点を聞かせてください。

一番は、モチベーション管理が得意な人ではないでしょうか。そもそも英会話レッスンの最大のポイントは他者の助けを借りて継続できるという点です。また、これまで1000人以上の英会話の先生を見てきましたが、非ネイティブの先生が良いですね。教える側の先生自身も第二外国語として苦労して習得したので、生徒がどこでつまづいているか、何が足りないかを明確に理解している人が多い印象があります。

たとえば、「日本語を教えてほしい」とあなたが外国人に頼まれたと想像してください。「ここは「は」でなくて「が」だよ」など、文法的に間違った日本語を直すことはできます。「こうやって言った方が伝わるよ」とお手本を見せることもできます。しかし、ネイティブの先生は「なぜ間違っているのか」「どうすればできるようになるのか」などの「Why」や「How」の部分は説明することができないのです。幼少期の自然な発育課程で環境的に言語習得したために、理屈や成長の過程、そして苦労がわからないのです。

―ゴルフがうまい人に、「シュコーン」って感じでうつんだよと指導された時を思い出しました。その人は運動神経がある人なので、教え方がわからないのだと思いますね(笑)

英語ネイティブの先生は「What(英語の正しい姿)」が教えられます。その一方で第二外国語として英語を学んだ非ネイティブの先生は「Why(なぜ)」「How(どうやって)」が教えられるんですね。指導者がネイティブであるということは、必ずしもよいことだけではない。実は「Why(なぜ)」「How(どうやって)」が教えられないことは、英語ネイティブの先生の課題なのです。

―講師は男性と女性どちらがよいですか?

選択肢があるのであれば、男性の方がよいです。講師が女性だと、は平均的な周波数が1khz付近でリスニングしやすく、この帯域に慣れすぎてしまうので、ビジネス業務で男性の英語が聞き取りづらくなるという問題があるからです。

英会話レッスンで成果を出すポイント

  • 英会話レッスンは、モチベーション管理には長けている一方で、ものにする、習得することを考えると効率が悪い。
  • ネイティブの先生は「What」は教えられるが「Why」と「How」が教えられない。
  • 英会話講師は、課題や成長プロセスをよく理解している第二外国語習得者がよい。

英会話学校の意外な落とし穴

―これまでは、英会話レッスンや英会話学校をどのように利用すれば効果的かという視点でお話を伺ってきましたが、逆に「これはやってはいけない」など気を付けることはありますか?

多くの人が意識していないことですが、日本の英会話サービスは民間企業によって運営されています。つまり、英会話学校は契約の延長、つまり売上最大化と利益の追求がゴールであり、一刻も早くできるようになりたい学習者とは利益相反の関係にあるということです。早い話が、英会話学校は学習者にうまくなってもらっては困るということです。リピート、新規契約が重要になりますから、それらを勝ち取るために、教育よりも営業と顧客満足に偏ってしまっています。

―英会話学校が利益を追求することの何が問題なのでしょうか。

手取り足取り見てくれる、先生が一生懸命に教える、笑顔で親切に接する、どれも顧客満足として大切なことなのですが、英語の習得や上達には逆効果です。結局、語学は先生ではなく、本人が頑張らなければなりませんし、理想的には先生は何もしないのが良いのです。

例えば、義務教育の中学校や高等学校で「今日はテストが近いから自習にしよう。各自34p-36pの単語を全部覚えてください。」といった指導も可能です。先生としてはすごくサボっていますが、これは教育的には間違いではない、むしろ正しいんですよね。先生が教えることを一回ストップして、生徒の復習の時間にあてているのですから。しかし、英会話学校ではこんな授業はあり得ないと思います。

―そんなことをしたら、日本中の英会話学校が潰れてしまいそうですね。

そうですね。先ほどお話したように、英会話学校は民間主導のサービスであるため、受講生の満足は最重要項目です。しかし、顧客満足を企図しているかぎり、教育としては中途半端になってしまうというジレンマがあります。

先生の力に頼らない、独学や地味な反復トレーニングがビジネス英語の学習には近道なのですが、そこに気づくと先生やレッスンサービスが必要なくなってしまうんですね。ある意味で、英会話学校や英会話サービスはその存在そのものが矛盾をはらんでいるとも言えます。つまり、顧客満足を追求すればするほど、生徒にとっては自分を律する力や英語表現の血肉化の機会が失われてしまうからです。

―親に甘やかされて育った子がわがままに育つと言われますが、教育はそもそも与えすぎはよくないということですね。

ネイティブ講師の落とし穴①「笑顔で待つ」

―英会話レッスンの具体的な問題について聞かせてください。

まず英語を始めて多くの人が経験することですが、スピーキングがもたつきます。顧客サービスである英会話学校やレッスンにおいて、英語の先生は笑顔で辛抱強く待ってくれます。しかしビジネスでは真逆です。

―上司や取引先が、仏頂面でいらいら聞いているっていう(笑)私も今外資系の会社につとめているのでよくわかります。

はい。こうした英会話学校のトレーニングを積んだ受講生は「相手が笑顔で待ってくれる」ことに慣れすぎているため、ビジネスの現場で通用しなくなってしまうことが問題です。ビジネスは甘い世界ではありません。ビジネスの現場では時間がかかる場合には中断されますし、タドタドしいと聞いてくれないことだってあります。そうしたリアルなビジネス現場から最も遠いトレーニングが英会話のレッスンなのです。

―最初はどうしても、スピーキングに時間がかかるので、先生に待ってもらわないと難しいのではないでしょうか?

最初は仕方がないよね、練習を積めば、いつかスピーディーに話せるようになるんじゃないの?と思う方もいるでしょうが、それは間違いです。遅い英語は遅いままで、スピードがあがることはありません。普段の独学トレーニングや反復練習などで相応のスピードに達していないのであれば、対話で早くなることはまずありません。

おそらくスキルの習得はどれもそうですが、何十回も繰り返さなければ、スピードは上がりません。独学でよく反復トレーニングをし、何度も同じことを練習してはじめて、即応的でスピーディーなコミュニケーションに近づくことができるのです。

ネイティブ講師の落とし穴②「エンドレス学習」

英会話レッスンである英語を話したら、「ここをもっとこうした方がいいよ」と教わることもあるでしょう。

その状況により相応しいベターな表現、また日本人が頑張ってできるようになる発音よりもよい発音、これらは半永久的にずっと学習者に取り付くことになります。それでは、永遠に終わりがありません。

しかし、ビジネスは待ってくれません。実践で話すことを念頭におき、本題、内容、そしてスピードが重視されるビジネス英語では、ツールとしてのコミュニケーションを完成させなければならないからです。完璧を追い続けていてはいつまでたっても業務で使えるようにならないのです。

―ビジネス英語の習得には、ある程度の妥協も必要だということですか?

ゴルフのトレーニングを考えてみて下さい。プロゴルファーのフォームは私たちには真似することはできません。私たちアマチュアは、自分の体格、筋肉量、柔軟性にもっとも適した我流のフォームで、コースを回るということが重要なのです。アマチュアや趣味のゴルファーにプロゴルファーの本格的なテクニックは必要ありません。英語も同じです。

―英語の先生のアドバイスにはどう付き合えばよいのですか?

ゴルフでも、ちょっと指導してもらって意識することで、フォームが崩れたりしませんか?英語も同じです。あまり人の意見を聞きすぎると、発音もだめ、この表現も十分じゃない、文法的にも間違っている、と固くなっていき、結果話せなくなってしまいます。自分が今できること、その基礎の部分を固めながら、たまに改善や指導を取り入れるのが最短の道のりです。

図)英会話レッスンと実践の3つの違い

英語の先生は基本的に、英語を教えることしかできないので、生徒の知らないことを教えることが自分の仕事だと思っています。しかし、これが学習者にとって必要以上になってしまうことがあります。生徒が吸収できるキャパシティーを超えたり使う機会が少ない単語や表現にふれていると、ビジネス英語の習得までに、結果遠回りとなってしまうことがあるのです。そんな表現いったい人生で使うタイミングがあるのだろうか。ネイティブの良い発音を10年かけて習得したとして、いったい何の意味があるのだろうか。そうしたスクリーニングの心をもって、身につける表現を厳選してください。

―確かに私も以前、NHKのビジネス英語入門教材で、「Piece of cake(朝飯前だ)」という表現を学びましたが、自分がこれまで一度も使ったこともなければ、外国人がビジネスで使っているところを聞いたこともありません。

繰り返しますが、ビジネス英語を習得する過程で、ビジネスであまり使われない単語やフレーズ、そして必要以上のネイティブチックな表現は必要のない回り道です。しかし対話トレーニングや書店の英語教材ではそんなことはお構いなしです。ジャンジャン雨あられのように新しい知識、自分にとって不必要なスキル、またはキャパオーバーとなる情報が飛び交います。

新しい単語や表現に出会ったら自分の中で「今後ビジネスで使う可能性があるか」をまずイメージすることから始めてください。そのイメージが持てないのであれば、覚えるのは後回しにして、既に自分がもっている、ビジネスで使う可能性高い単語の運用力向上に取り組むとよいでしょう。

―ビジネス英語は知識の単語の量ではなく、運用力も大事ということですね。

そもそも知識偏重の教育傾向が日本にはあります。「より知っているほどGood」という考え方です。しかし私たちビジネスパーソンは知識でなく、運用力こそがビジネス英語の本質であるということから目を背けてはなりません。私たちは「使えてはじめてGood」なのです。英語は知識でもよいですが、ビジネス英語はOUTPUTしてはじめて意味があります。

もっとも、役員会やプロキュアメント(資材)の交渉など、ハイレベルの英語コミュニケーションでは相応の語彙や知識も要求されます。しかし、初めから山の山頂に向けて直線的に登ることはできません。曲がりくねった道を進みながら、少しずつ登っていくことが、結局最短の近道なのです。

    ビジネス英単語を学ぶのポイントまとめ

  1. 業務と関連性の高い単語やフレーズに絞って習得する
  2. NHK教材や書店の英語教材は実用面から見ると「必要以上」であることが多いため気を付ける
  3. 英語は知識競争、ビジネス英語はツール

ネイティブ講師の落とし穴③「ほめる」

じつは、英会話講師の報酬体系は一般的な学校とはまるで異なります。中高の学校は基本的に固定給、また公立学校は公務員になりますので、年がたつにつれて、安定して昇給されていきます。一方で英会話学校の先生の多くは業務委託、派遣契約で働いていることが多く、ほとんどの人が時給制です。こうした背景があるので、ネイティブの先生は生徒からなるべく気に入られ、指名をとろうとしてしまいます。

―「時給」「指名制」とまるで夜の接客商売のような、、、

本質的にはあまり変わらないのかもしれません。先生達は生徒の満足度や評判が全てです。英会話学校の先生は学校の先生よりも仕事として持続するために生徒の評価を伺う必要があるのです。

生徒に好かれるには、下手な英語でもほめること、笑顔でつたない英語を待ってあげること、よりよくなるようにアドバイスを与えることが大切です。ほとんどの人は忙しい仕事の合間を使い、また家族や自分のプライベートの時間を使って来ているわけですから、こうしたサービスが流行するのも仕方ないことだと思います。しかしこうした、顧客サービス重視の甘い英語の学習環境では、厳しく、貪欲に学ぶことはできない ことに気づいてください。

―モチベーションという視点では褒められることは大事ですよね?

はい。モチベーション管理や継続して英語にふれるという意味で、ほめられることは大事です。しかし、そう簡単にほめられていては、生徒としてはあまり上達していないのにもかかわらず、少しできた気になってしまいます。知っていて当然で、問題なく使えて当たり前のビジネスの基礎単語でも使えばGoodとほめられていては、上達スピードが遅れてしまいます。実践のビジネス英語は英会話レッスンの英語とは異なります。実戦のビジネス英語では、成果やスピード、そして業務上の効率的な情報伝達が求められているので、「まだまだこんなものじゃだめだ」という厳しい目で自分の英語力を磨き続けなければならないのです。趣味の英語や、自己満足の英語は「ほめられる」ことが目的であってもよいと私は思います。しかし、ビジネス英語では実戦をよくイメージして、自分自身で目標とするレベルに至るまでに何がたりないかを正確に測り、努力を続ける必要があります。

―ビジネス英語は人から教わってできるほど簡単なものではないということですね。

結局他力本願では、ビジネス英語の習得は難しいため、自分で目標をたてて、独学で地道な反復トレーニングを継続することが大切になります。しかし、さいわいにして、ビジネス英語は中国語やフランス語などと比べると難しくありません。カタカナ発音でもしっかり話せば通じますし、文法にミスがあっても80%程度は通じることでしょう。自分自身の期待ハードルを上げすぎずに、実用性や運用力をしっかり身に着けることがビジネス英語習得の最短の近道です。

英語の習得を成功する人、失敗する人8つの分岐点

【分岐点①】ゼロツーマンという考え方

【分岐点②】受験勝ち組=英語負け組

【分岐点③】理想と小手先の剣術

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